患者様へ
「歯周病」ってどんな病気?
かつて「リンゴをかじると歯茎から血が出ませんか?」というインパクトの強いテレビCMがありましたが、「歯槽膿漏にならないように、しっかりと歯を磨きましょう」といった内容でした。
「歯槽膿漏」は歯茎から膿の出る病気という意味ですが、他にも様々な症状があることから、今では「歯周病」と呼ぶようになっています。その進行の度合いによって、「歯肉炎」と「歯周炎」に分けられます。
初期の症状は、歯肉が赤く腫れたり、歯を磨くと血が出たり歯肉がむずむずしたり、痛んだりします。この段階が「歯肉炎」で、歯肉だけに限局して炎症が起きた状態です。
さらに炎症が進行して、歯肉の下の歯槽骨など歯を支えている組織全体まで破壊されてしまうのが「歯周炎」です。
むし歯のように自覚症状がなく、知らないうちに進行しているのが「歯周病」の特徴で、中高年が歯をなくす一番の原因になっています。
若い人などは、「歯周病?オヤジの病気でしょう?」と思うかもしれません。
ところがそれは大きな間違いです。早い人では、10代からかかり始める場合もあります。
人それぞれかかりやすさの因子が違うのでいちがいにはいえませんが、20代から40代にかけて自分でも気づかないうちに歯周病にかかっていて、これまた知らないうちに悪化している、という場合が多いのです。
歯周病はかかっていることに気づきにくいことが災いして放置される。
すると歯を支えている組織が長期間にわたって破壊され失われていき、歯肉が変形し、歯の位置が動き、歯肉が痛んだり歯がグラグラする、歯肉から臭い膿が出るというような自覚症状が出てきます。
たいがいの人は、ここまで重症になって初めて気づいて慌てて歯周病の治療を始めているのが現状といえます。しかし、残念ながら治療には時間がかかるばかりか、歯を抜かざるを得ない状況になることも少なくありません。
「歯肉炎」の段階では、歯みがきすると歯肉から出血する、歯肉がピンク色でなく赤紫色になっている、歯と歯の間の歯肉がブヨブヨして柔らかくなっているなど自己診断ができます。
そして、適切な指導さえあれば、家庭療法で容易に治すことができます。
しかし、「歯周炎」に進行しているかどうかは自己診断できませんし、治療も患者さん自身のセルフケアと歯科医院での継続的な治療が必要です。しかも、進行を止めることができるだけで、すっかり元通 りに治るということがありません。
(歯肉炎は、原因がなくなれば、元通 りに治ります)
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