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日本でいちばん子供のむし歯が少ない県は?

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新潟県は、文部科学省による統計調査で17年連続で子どものむし歯が日本一少ない県に輝いています。

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秘密その① 学校などでの“フッ化物洗口”

フッ化物は歯磨き剤でおなじみの成分ですが、「フッ化物(フッ素)を含んだ溶液で口をすすぐこと」をフッ化物洗口といいます。新潟県では、今から約50年前、1970年弥彦村の弥彦小学校で始まったのをきっかけに、市町村事業としてフッ化物洗口が県内各地へ普及しました。実施方法はとても簡単。フッ化物が入った溶液で、一週間に一回、1分間、子供たちにブクブクうがいをしてもらうだけ。もちろん、薬剤は、処方・調剤・計量を含め、歯科医師の指導のもと、各施設で厳重に管理されています。

では、フッ化物洗口はどのように虫歯予防に役立つのでしょうか?飲食後、お口のなかの細菌の出す酸や飲食物に含まれる酸などにより、歯からカルシウムが溶け出します(=脱灰)。その後時間がたつにつれ、唾液の作用でだんだんと溶け出したカルシウムが歯の中に戻っていきます(=再石灰化)。その時にフッ化物がイオンの形で唾液中にあると、再石灰化のスピードが速くなるばかりか、歯の結晶をごくわずかずつ硬く大きなものに変え、歯の表面の結晶性を増していきます。その結果、酸に対する抵抗性が強くなり、虫歯になりにくくなるのです。

秘密その② 学校と歯科医院の連携

現在の学校歯科健康診断では、虫歯が見つかった場合はもちろん、虫歯になりかけている歯が見つかった場合も歯科医院で診てもらうようすすめられます。歯科医院でさらに詳しく診てもらい、必要に応じて検査をし、治療や予防を受けるのですが、新潟県では「歯科医院での処置の内容を県行政に集約する仕組み」ができています。

診療後、どのような処置をしたかを歯科医院から学校に伝えてもらい、学校からはその情報をネット上の専用システムを用いて県に報告してもらいます。新潟県では全市町村がこのシステムに参加していて、集められたデータは、受診状況や処置内容の把握、予防事業全体の評価に利用されます。

秘密その③ “顔の見える”地域のつながり

このように県全体で子どもの虫歯予防に取り組めているのは、新潟県に「子供の歯を守る会」という連携のベースがあったからです。この子供の歯を守る会は、1974年に新潟県歯科医師会と新潟大学歯学部を主軸に発足しました。今から40年以上前のことで、当時はいわゆる“虫歯の洪水”時代。そんななか、フッ化物利用による公衆衛生的な虫歯予防を推進してきたのが同会です。

会の最大の特徴は、歯科医師や医師などの医療職種だけでなく、教育関係者や行政、保護者といったさまざまな立場の方から構成されていたことです。そのため、医療や行政側からの一方的な推進ではなく、参加する人々がそれぞれの立場でシステムを考え、改善を提案できる形になっていました。

当初は草の根的な活動でしたが、やがてフッ化物洗口の有効性が認められ、県内全域に拡大。1981年には新潟県の「むし歯半減10か年運動」の原動力となり、2008年7月には、全国に先駆けて歯科保健推進条例が施工されるきっかけとなりました。同条例では、フッ化物の利用を始はじめ、生涯を通じた歯科保健対策が推進されています。

条例施行を見届け、会はすべての活動を県歯科医師会に移行し、2009年5月に解散しました。しかし、そのころ培われた「顔の見える」つながりはいまも生き続けていて、現在の連携の基軸になっているのです。